取材の記録

場所
石川県・能登半島(珠洲ほか)
時期
能登半島地震から2年(映像の公開は2026年1月)
出会った人
被災した猫の保護を続ける男性/珠洲で子どもたちの居場所をつくる人
作った物
記録映像2本(撮影・制作)

この記事の要点

  • 2024年元日の能登半島地震(最大震度7)から2年。石川県・能登で、2本の記録映像を撮影・制作した。
  • 1本目は、発災の日から2年間、被災した猫の保護を1,000頭近く続けてきた男性の記録。
  • 2本目は、珠洲へ移住し、「すずっこひろば」で子どもたちと地域の居場所をつくる人の記録。

能登半島は、石川県から日本海に大きく突き出した半島だ。輪島塗をはじめとする伝統と、高齢化の進む漁村の暮らしがある。この地を、2024年の元日、最大震度7の地震が襲った。あれから、2年が経った。

雪の積もる学校のグラウンドに並ぶ仮設住宅
かつて歓声が響いていた学校のグラウンドには、今も仮設住宅が並ぶ。

被災地のニュースを、見ないようにしていた

地震大国と言われる日本では、僕が生まれてまもない頃から今日まで、大規模な地震が何度も起きてきた。幼心にテレビでその映像を見るたび、心を痛めていた。高校を出て働いていた頃、西日本豪雨が起きた。上司に「どうにか、ボランティアに行かせてくれないか」と直談判した事もある。笑

自分自身を理解するようになってからは、被災地のニュースを見ないようにしていた時期もある。「行ったら、もう帰って来れなくなる気がして」。それでも、気づけば現地に向かっている事があった。

世間一般には、「自分とは関係ない」と思う人のほうが、きっと多い。それを否定したいわけではない。僕自身、そう思えたらどれだけ楽に生きられたかと思う日も、正直ある。ふと窓の景色を見つめながら、「あの頃から、僕は何か出来るようになっただろうか」と思う時もある。けれど、幼い頃からずっと続けてきた映像だけは、上達出来た。取材を始めた頃から出会ってきた「たくさんのかっこいい大人」は、能登の地にも確かにいた。

1,000頭近い猫を、保護し続ける人

ある人は、震災が発災した日から2年間、自分の人生を助けてくれた猫の保護を1,000頭近く続けていた。猫に命を助けられたから、猫に恩返しをしたい。公費解体の期限が迫るなか、取り残された猫たちを探して、昼も夜も走り回る。「誰かを助けよう」と、必死に生きている。

解体を待つ能登の家々保護されて手当てを受ける子猫
解体を待つ家々と、保護された子猫。
猫たちを救うために奔走し続ける、一人の男性の記録 猫たちを救うために奔走し続ける、一人の男性の記録YouTube で観る →

子どもたちの居場所を、つくる人

ある人は、自分のこれからの人生もあっただろうに、緊急の支援活動をずっと続けてきた。珠洲のお祭りを通じて、この地の為に働きたいと決めて、珠洲へ移住した。地盤の隆起やひび割れは、子どもたちの足元から「走る自由」を奪った。今は「すずっこひろば」を通じて、子どもたちや地域の方々の居場所をつくっている。

能登の子どもたちの笑顔と、未来を育む「居場所」の物語 能登の子どもたちの笑顔と、未来を育む「居場所」の物語YouTube で観る →

そんな方々の思いを受けて、映像を作れる事が、とても、とても嬉しかった。年明けから、色んな意味で泣きながら編集していたのは内緒だ。

希望が、失望に終わる事は無い

希望が失望に終わる事はなくて、
これからも一生懸命、頑張りたい。

日本や世界は、暗い雰囲気に満ちているかもしれない。それでも、僕が心を動かされた「かっこいい大人たち」の姿を、ぜひ映像を通して知ってもらえたら嬉しい。

能登半島地震から2年、足場の組まれた家と海沿いの道
能登半島地震から、2年。石川県・能登、2026年。
成田淳

成田淳(Narita Jun)

映像作家・映像ジャーナリスト。1993年名古屋生まれ。国際NGOのスタッフとして災害・人道支援の現場に立ちながら、人と生き物と地球のドキュメンタリーを制作している。グリーンフィルムフェスティバル2024 最優秀賞。

この記事は、2026年1月20日の Instagramの投稿 を、読み物として書き直した物です。