取材の記録

場所
沖縄本島ほか
時期
2020年から毎年(2021年にサンゴの白化を取材)
テーマ
サンゴの白化、海洋保全
作った物
海洋保全の映像作品、VR映像の撮影(2021年)

この記事の要点

  • サンゴの白化は、海水温の高い状態が続き、サンゴが体の中の褐虫藻を失って、白い骨格が透けて見える現象。長く続くと、栄養をとれずに死んでしまう。
  • 環境省の調査では、2024年9月、国内最大のサンゴ礁・石西礁湖で平均白化率が84.0%に達した。
  • 2021年にサンゴの白化を取材し、その後も毎年沖縄に通って、海を記録している。

亜熱帯の海に囲まれた沖縄は、色とりどりのサンゴ礁がつくる、豊かな生態系の宝庫だ。けれど近年、その海に「白化」という異変が広がっている。

上空から見た沖縄の島と海
沖縄の海。2024年10月。

サンゴの白化とは? なぜ起きるのか

サンゴは、体の中に褐虫藻という小さな藻を住まわせ、その光合成から栄養をもらって生きている。海水温が高い状態が続くと、サンゴはこの藻を失い、白い骨格が透けて見えるようになる。これが白化だ。白化してもすぐに死ぬわけではないけれど、高い水温が長く続けば、栄養をとれずに死んでしまう。

環境省の調査では、2024年9月、国内最大のサンゴ礁である八重山の石西礁湖で、平均白化率が84.0%に達した。30℃を超える夏の高水温は、例年なら9月の初めまで。それが9月下旬まで続いた事が、要因の一つと考えられている。12月には、白化率は65.5%まで戻った。けれど、白化で死んだサンゴが増え、生きたサンゴが海底を覆う割合は13.7%まで下がった。

2021年、白化を取材した

初めて沖縄を訪れたのは、コロナ禍が始まる直前の2020年。2021年にはサンゴ礁の白化を取材し、その後も毎年、何かしらのロケでこの地に足を運んでいる。2021年の秋には、360度のVRカメラを持ち込んで、海と街を撮った。体験する映像なら、知識や難しい言葉を超えられるかもしれない。誰かが自分ごととして感じる、きっかけになるかもしれない。

VRカメラを調整する成田淳船の上でVRカメラを構える
360度カメラでの撮影。沖縄、2021年9月。

サンゴは、多くの魚や生き物のゆりかごだ。その土台が失われれば、海全体の命の循環が揺らいでいく。白化するサンゴ礁は、海がいま悲鳴をあげている事を教えてくれる。

海辺でVRカメラを構える成田淳

変わっているようで、変わらない場所

海の色、食べ物、匂い、音楽。この島に包まれるたび、ふと過去の思い出が波のように寄せては返す。あの時、仲間たちとここで夕陽を見ていたな。あの時、酔い潰れそうな自分を支えてくれたな。自分自身の環境や状況は大きく変わったけれど、この場所は、変わっているようで変わらない。

変わっているようで、変わらない。
その永遠とも思える瞬間を、記録して残したい。
夕焼けに染まる沖縄の海夕暮れの海を見つめる成田淳の横顔

空港から旅立つ時、また空港に降り立つ時に、ふと考える。あのお爺さんは若い頃、ここに降り立った事があるのだろうか。あのカップルは、きっと初めての沖縄なんだろうな。

岩の浮かぶ沖縄の浜辺

この美しい場所が、未来にも持続可能な形で守られますように。僕たちの作品が、誰かが自然の大切さに思いを馳せるきっかけになりますように。

成田淳

成田淳(Narita Jun)

映像作家・映像ジャーナリスト。1993年名古屋生まれ。国際NGOのスタッフとして災害・人道支援の現場に立ちながら、人と生き物と地球のドキュメンタリーを制作している。グリーンフィルムフェスティバル2024 最優秀賞。

出典:環境省 沖縄奄美自然環境事務所「石西礁湖のサンゴ白化現象の2024年12月調査結果について」

この記事は、2021年9月と2024年10月の Instagram の投稿(1・2)をもとに書き直した物です。