フィリピン中部、ビサヤ地方に浮かぶセブ島。美しい海に囲まれた観光の島である一方で、いくつもの台風が通り過ぎる道の上にもある。2025年11月、大型の台風がこの島を直撃した。多くの家が倒壊し、数百人が亡くなり、およそ330万人が被災したと言われている。
事務所で作業をしていると、突然、声をかけていただいた。その日のうちにカメラを持って、空港へ向かった。不思議と、自分の故郷にこんな形で戻ることになるなんて、まったく思っていなかった。僕の中には、フィリピンの血が流れている。
僕たちは沿岸部の避難所を巡りながら、医療の現場の活動や、被災された方々の声を記録した。薬が不足している避難所も多く、医師や看護師たちが、限られた資源の中で懸命に支援を続けていた。ある地区では、看護師でもある地域の代表と出会い、診療所で使う医薬品を支援。翌日には健診会が開かれ、子どもから大人まで、多くの人が診察を受けることができた。台風の影響が最も酷かったエリアでは、現場で出会った医師とともに、一軒一軒家を訪ねて、子どもたちの診療を行った。薬がとても不足していたので、あらゆるドラッグストアを走り回って調達した。
この一週間、自分がこういう形で
“つくられた”意味を、感じています。
本来ならちゃんとお休みがあるのだけれど、緊急の現場はイレギュラーで、身体も心も疲れがピークにきていた。それでも、ちっぽけな自分ひとりの力ではなく、チームの中の一員として動ける喜びのほうが、今は大きい気がした。忘れ物を気にかけてくれる、優しい人たちに恵まれながら。