瀬戸内海は、本州・四国・九州に囲まれた、おだやかな内海だ。数多くの島が点在するこの美しい海に、いま目に見えない脅威が広がっている。細かく砕けたプラスチック──マイクロプラスチックだ。愛媛・瀬戸内海で出会ったこのテーマの取材が、僕にとってのすべての原点になった。

何気なく捨ててしまう、プラスチックのごみや、家庭のごみ。忘れてはいけないのは、「捨てたごみは、誰かが拾う」ということだ。どれだけ時間が経ったかわからない、飲みかけのペットボトルさえも──「誰かが、空けて、捨てている。」その一つひとつが、めぐりめぐって海へと流れ着き、波にもまれて砕け、やがて生き物の体の中にまで入り込んでいく。

捨てたごみは、誰かが拾う。
その当たり前を、映像で伝えたかった。

このテーマはやがて、藤前干潟の渡り鳥や、各地の海洋保全の取材へとつながっていった。小さな一本の取材が、僕の歩みの源流になっている。源流に流れる水が、やがて大きな川になるように。