世界最大の難民キャンプは、丘のかたちが見えなくなるほど、竹とビニールシートの家で埋め尽くされていた。バングラデシュ南東部、コックスバザール。ミャンマーから逃れてきたロヒンギャの人々、およそ100万人がここで暮らしている。(本文は仮テキストです。実際の取材記をもとに差し替えてください)
キャンプに入って最初に覚えたのは、匂いと音だった。炊事の煙、雨季の泥、そしてどこにいても聞こえてくる子どもたちの声。カメラを向けると、彼らは笑った。撮られることが、自分がここにいることの証明になると、知っているかのように。
記録されない命は、なかったことにされる。
それを、僕は自分の身体で知っている。
1ヶ月の滞在で出会ったのは、難民キャンプだけではなかった。気候変動で漁場を失い海賊にならざるを得なかった男たち、革なめし工場で働く子どもたち、13歳で嫁ぐことが決まった少女。すべてが、大きな声にかき消されてきた小さな声だった。
帰国してから、ずっと考えている。あの日カメラを向けた子どもたちの「明日」に、僕の映像は何ができたのか。答えはまだ出ていない。ただ、伝え続けることをやめたら、あの声は本当に消えてしまう。だから僕は、編集室でもう一度、彼らのとなりに立つ。